透明セラミックスの開発
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液相法による微粉体の合成

透明なセラミックスを作製するためには、初期粉体のサイズや形状等の条件が重要です。理想的な粉体を得るために、最初に液相法で前駆体を合成します。その後、前駆体を結晶化するために仮焼を行い、初期粉体とします。粉体の結晶相や形状をXRDやSEMで評価し、液相合成時のpHや反応速度、仮焼条件を変化させて最適な粉体合成を目指します。

使用する装置
pHメータ,遠心分離機,電気炉,XRD,SEM

放電プラズマ焼結(SPS)による緻密透明化

透明なセラミックスは、空孔や不純物、他相が少なく、単結晶並みの密度を有する多結晶体です。放電プラズマ焼結装置は真空中で一軸加圧をしながら粉体を焼結することが可能であり、高密度セラミックスの作製に有効です。変位曲線から焼結挙動を把握し、適した焼結温度、昇温速度、保持時間、加圧プログラムを決定します。焼結体に大気アニール処理と鏡面研磨を施し、透光性の確認をします。

使用する装置
SPS装置,電気炉,研磨機

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各種評価

焼結した試料の透過スペクトルを測定し、散乱係数を評価します。また組織観察を行い、セラミックスを構成している結晶粒の大きさや残留気孔の有無を調べます。SPSを用いると、図のように平均粒径が500 nmの微結晶粒組織で緻密にすることができます。これは従来の焼結法よりも約一けた小さい結晶粒であり、機械強度に優れるだけではなく、新しい光機能を有する透明セラミックスの開発に繋がると期待しています。

使用する装置
分光光度計,SEM,ラマン分光装置,他

透明材料の接合技術
レーザー材料の熱問題

レーザー加工で用いられるような高出力レーザーの開発では、レーザー材料で発生する熱問題を低減する必要があります。発熱と冷却によって、材料内に大きな温度勾配が発生すると、熱膨張や熱応力によってビーム品質が劣化したり、材料の熱破壊に至ってしまうためです。そのため、高出力化には材料形状の選択と、効率的な冷却技術の確立が重要です。
 新しい冷却技術の一つに、サファイア単結晶のような高熱伝導率を有する透明体でレーザー材料を伝導冷却する方法が実証されています。しかし、熱膨張率の異なる母材を熱拡散によって接合することは一般的に困難とされており、表面活性接合(常温接合)が主に用いられていました。

透明体の放電プラズマ接合

SPS法はパルス通電効果によって、他の加熱法よりも「低温・短時間」の熱処理で焼結・接合が可能と言う特長があります。私たちはこの特長に着目して、熱膨張率の異なる異種透明材料の接合を試みました。その結果、サファイア単結晶とYAGセラミックスの高品質な接合体を得る独自手法を確立することができました。透過特性は理論透過率にほぼ一致しており、接合界面の組織からも空隙や非接触点がないことが確認できています。
 現在は核融合研と共同で、大口径化や他種材料同志の接合など、さらなる接合の実証を試みています。

使用する装置
SPS装置,分光光度家,SEM,他

レーザー特性の評価
  
蛍光特性、レーザー発振試験、など

研究室で作製した透明セラミックスが、どの波長で蛍光を示すかや、レーザー発振に至るかを評価しています。当研究室では主に1μmでレーザー発振をするNdやYbを活性元素に選択してセラミックス開発を行っていますが、今後は波長領域を拡げる予定です。
 また、接合体のレーザー評価ではハイパワーの実験が必要になり、出力が数十ワットの半導体レーザーを用いています。そのため、材料開発室とは大きく異なり、空調下・クリーンブース内でレーザー発振の実験を行っています。  

使用する装置
半導体レーザー,分光器,パワーメータ,クライオスタット,他